ドストエーフスキーは「人生は苦痛であり、人生は恐怖である。・・だが、人間は人生を愛している」と告白している。良く生きるということは、一生懸命に生きることであり、精進努力の中に人生への愛を感じているのであろう。 ある大脳生理学者は、「動物には遺伝性のきわめて強い部分(本能系統)と後天性が圧倒的に強い部分がある。人間では特に後者の割合が圧倒的に大きく、知情意(すなわち、理解力、想像力、判断力、意志力)の発達が人間性発達に大きく寄与している。後者の発達は生涯教育に負うところが大きく、能力を伸ばすためには『やる気』を起こすことが重要である。『やる気』のない人は伸びない」と述べている。目標を自分でしっかり設定することが第一なのだ。R.シュラーは「狙うものがなければ人間の発展はありえない」と述べている。人生の目標がはっきりすれば、推理も連想も活発になる。知識を組み合わせて考える。工夫をする。創造してゆく喜びを掴む。人生を苦しみではなく、喜びに変えるのは、『自分の目標を持つこと』なのだ。 『仏垂般涅槃略説教誡経(ぶっすいはんねはんりゃくせつきょうかいぎょう)』という仏教の経典の中に「汝らもし勤め勤しむならば、事として難きものなし。わずかな水も常に流るればよく意志を穿つがごとし」と記されている。たとえ才能がなくても、ハンディがあったとしても、目標に向けて心を集中して、少しずつでも繰り返し根気よく続けていれば、必ず志を達成することができることを説いている。また、以前にも述べた通り、我々の日常の考え方や行動は、潜在意識の中に徐々に刻み付けられている。「自分自身の力で」「集中して」「繰り返す」この三つが揃ったとき、人間というものは向上し、自分の目標が達成できるのである。 では、自分の目標を達成するために、具体的にどうすればよいのであろうか。 ●自分の能力を知る 自分がよくやれると考えていることを残らずリストアップする。次に、やりたいと思うことのリストを作る。この二つのリストを分析し、未発見の才能を見つけ出す。現実的に考えることがポイント。 ●推進力の源(確信を持つ。自信を持つ。やる気・情熱を100%注ぎ込める目標) 成功を手にするのは最も能力のある人とは限らない。「自分にはそれができる」と確信している人である。偉大なる推進力、強い決意、信念は、ときに能力を凌駕するものである。 ●具体的にイメージする 自分の目標の設定を明確にしなければならない。具体的に5年後10年後に自分はどうありたいのか、具体的にイメージすることが最初のポイントである。そして熱意を込めて強く想念することである。目標を設定するにあたっては、『自分が植えられているところで花を咲かせる』こと、すなわちあなたが、現在居る地点に対する心構えが重要である。もし、「それは不可能だ」と考えるのなら、最大の問題はあなた自身なのである。自分の足元をしっかりと見据えて、現実的な目標を、具体的にイメージすることである。肉体と精神の、視覚と聴覚の二つのチャンネルを通して、潜在意識にそのイメージを植え付ける。 ●具体的な計画を立てる 目標を実現するための計画を立てる。計画の段階では、用いうるすべての手段について考えることである。限界を意識してはならない。そして具体的な実行計画を立てる。明確なタイムリミットを決めておくことも重要である。 ●目標に向かって馬車馬のように進む 綿密な計画を立てたら、それに向かって、直ちに行動を起こさなければならない。行動することこそが、あなたを具体的に目標に向かわせるための最重要課題なのだから。行動すると、必ず問題に直面する。しかし、あらゆる問題はあなたを飛躍させるためのチャンスなのである。どんなときも『できる』と信じて前進するのだ。他人から何と言われようと、嘲笑されようと、一度決めた自分の目標をねじ曲げては行けない。自己暗示の方法によって信念を強め、確固たる意志を貫き通すことが重要である。 ●目標の評価 その目標を達成することにより得られる価値について考える。あなたが目標を達成することによって得られる価値、そのことの意義・・この点を深く考えてみることである。自分の利己的な利得のためだけの目標というものは、協力者を得ることも難しく、見えざる力の応援も受けられない、空しいものとなってしまうであろう。社会貢献という価値があれば、社会からの大きな協力も得られるであろうし、目標達成をともに喜びあえる仲間も増え、達成感も大きくなることであろう。 あなたは多様な世界に生き、多くの目標を持っていることであろう。そしてその目標は達成される度に新しく設定し直され、また次の目標に向かって前進することであろう。人間が目標を作るのではなく、その人の「目標がその人を創って行く」ということである。 ●夢見ることこそ生きること(心の中の夢工場) 心の中に「イメージ専用コーナー」を設け、ときどきそこへ行って、イメージを明確にする。細部に至るまで明確に描く。このコーナーはあなただけの自由な場であり、誰もその自由を奪うことはできない。自分が創り出す奇跡の分野に集中して、明確化したイメージに基づいて行動するのだ。自分の内側に奇跡の領域とでも言うスペースを持つこと。そこは『疑い』が一切入れない場であり、肯定の言葉を繰り返し唱え続ける場でもある。この肯定の言葉が信念を導き、その信念が奇跡を生むのだ。 ・・夢みることを止めたとき、人間の心は死ぬ・・ 最も最悪なことは、目標を達成できないことではなく、目標を大切に育むことを断念することである。人間は夢見ることを止めた時に死んでしまうのである。死ぬことを恐れてはいけない。恐れるべきは、死ぬ前に生きるのをやめてしまうことなのだ。 また、人間はいつも夢を見、成長を続ける生き物である。すなわち、目標を達成したときが『終わり』ではないのだ。夢は永遠に続くものである。偉大な夢想家の偉大なる夢は決して満たされることはない。永遠に未完成なるがゆえに永遠なのである。目標は、次の目標を生み、永遠に受け継がれ、そのプロセスの中で人は成長して行くのである。 |
参考文献: You Can Become the Person You Want to Be by Robert H.Schuller Real Magic Creating Miracles in Every Day Life by Wayne W. Dyer 人間はここまで強くなれる 謝世輝 禅に学ぶ人生の知恵 赤根祥道 |
第6回 | ![]() ![]() |
目 標 を 持 つ | ![]() ![]() |
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